デジモンアドベンチャー第48話感想

デジモンアドベンチャー第48話「爆撃指令!ムゲンドラモン」感想

脚本:西園悟 演出:芝田浩樹 作画監督:八島善孝(原画も八島さんお一人) 美術;飯島由樹子

丈たちはメタルエテモンを倒すが、レオモンという大きな犠牲を払った。ピノッキモンはヤマトに倒されるが、ヤマトは一人去っていく…

タイトルコールはムゲンドラモン。シルエットはメガドラモンとギガドラモンが現れて消え、ハグルモンを従えたムゲンドラモン。戦いに特化したメカメカしい多勢のメタルエンパイア軍団を表現している。軍団の圧を感じる。

●ヒカリ:「だって、早くしないと地球が」世界救済と自身の身の安全を秤にかけられない子。不調を言い出しもせず倒れ込んでしまうのは本当に胸が痛む。日陰一つない荒野で、皆も心身が限界で異変に気付いてあげられなかったのだろう。それこそ初めからカブテリモンに皆乗って移動すればよかったのに。高熱なのに、心配するテイルモンに笑顔を見せる健気さ。不思議な現象だが、特殊な能力を持つ天才肌の子どもは、神に近いゆえ、瀕死や高熱など病弱なことがしばしば見受けられる。

●太一:教会(調べたのですがそれらしい大聖堂はイギリスのウェストミンスター寺院?)で、太一はヒカリを心配するあまり「うかつだったじゃ済まないだろう!」、興奮して光子郎の胸ぐらをつかむ。らしくない。アグモンとテントモンに止められ、光子郎に謝る太一。ここで怒ったりせず何かあったのかと問う光子郎はさすがに仲がいい。太一が小2、ヒカリが幼稚園の時に太一のせいでヒカリは三日間生死の境をさまよったこと、さらに恨むどころか太一の遊び相手になれなかったことを謝ってきたのを、太一は泣きながら話す。太一の深いトラウマがシスコンの由来。救急車の赤い照明と、母に頬を打たれた赤みが、モノクロの回想シーンを彩る演出。「いつも人のことばっかり考えて、自分が辛いとか苦しいとか、絶対に最後まで言わないんだ。ほんとは、こっちの世界に来るのも嫌だったのかもしれない。でも、世界の運命とかって言われたら、絶対に断れないんだよヒカリは!」「だから…だから俺がしっかりあいつのこと見といてやらなきゃいけないのに!」。ヒカリの他者優先で自己犠牲をいとわない行為は、第34話、36話にも見られる。だから太一はヒカリを過保護なほど気にかけるのだろう。

●光子郎:ヒカリを連れてこなければよかったと言い出す太一に、8人目が必要という客観的事実を指摘。パソコンを駆使して薬を見つけ出し、敵の戦力と退避経路を分析という大活躍。メタルエンパイア軍団との知力戦は見事。それが裏目に出て居場所を特定されてしまう。「どこからアクセスしているかわからなくするソフト」、そんなんあるんだ~。合法?つ~かそんなのキャンプに持ってきていたのか?!それも結果として裏目に出て、都市エリア丸ごと総攻撃の的になってしまう。

●空:「夏風邪はしつこい」と、小5なのに大人っぽい。「汗かいて熱が下がればいいんだけど」ヒカリの看病も、母親の如くすっかり手馴れているお姉さん。一人っ子なのにね。

●タケル:ヒカリと同じ小2というのが、太一にとってヤマトのブラコンに共感できる要因であった。前線には連れて行かず保護し、なおかつ女子二人の護衛の役割も与えたという絶妙な太一の采配が、爆撃からの事前の避難という最良の結果を生んだ(空の判断もあり)。ただ、「男の子だもんな!」は今のご時世、性差別に抵触するかも。エンジェモンでのナイス防御。

●丈:光子郎が、「お父さんはお医者さんなんでしょ?」と言っているから、光子郎は丈についてプライベートは詳しくなく、距離があると思われる。「いっつも肝心な時にいない」って言っても、これは丈のドジのせいではないから責めないであげて。実は案外頼られてるってことか。

●都市エリア:着く前は荒野の暑い一本道であった。SOMEWHEREと書いてあるバス停で横になるヒカリ(行く先はANIWHEREだ)。アメリカ・イタリア・フランスの都市が隣接し、誰もいない。療養できる屋敷が見つかって良かった。居住者がいたのか、ベッドや水道もあるし薬箱も…しかし空箱であった。見つかった市販薬の表記は「かぜぴ~てせんねん くしゃみ・はなみず・はなづまりに ルラロン」。パブロンのパロディか。「DIGIMON HOSPITAL」って、院内はデジ文字なのに英語表記のデジモン専用の病院があるのは驚き。目当ての風邪薬は「ZE 22 Y-ZE」。整然とした無人のビル群が、冷たく恐怖を煽る。公衆電話、今じゃすっかり存在意義を失いかけてますが。ビル群の広告は「CAMERAS COPIERS VIDEO NIMOLTA」ミノルタのパロディであろう。その下には「NIMOLI」と。これは元ネタがわからない。

●ムゲンドラモン:CVは江川央生さん、オーガモンと全然違って愛嬌は皆無で重々しい雰囲気。「プランZ」というヤバい作戦を指示する。「選ばれし子どもたちを倒すことが最優先である」冷徹な戦闘家の判断。メガドラモン・ギガドラモンが攻撃を乱発する。再会した5人達に、ついにムゲンドラモン(この巨大ないでたち、圧倒的。)のムゲンキャノンが襲いかかる。メカメカしいのに、背中のバルブが大動脈を思わせ拍動は生々しい。太一と光子郎、ヒカリと空とタケルはビルの中へ逃げるが、ビルは崩落し別々に暗黒が支配する奈落へ落ちていく。せっかく入手した薬を飲むところが見たかった;(崩落のシーンでは薬の容器を太一が持っているので、いつ空に渡したのかは疑問)

●ピエモン:スパイラルマウンテンの頂上で、望遠鏡でムゲンドラモンの戦いを見る。曰く、面白味ないが隙はない。つまりはピエモンのような美学はない戦闘。すでに二つのエリアが崩れたのに、ムゲンドラモンが勝つと確信し、ワイン片手に余裕だ。アディオスは、スペイン語のさようならの意味。次にいつ会えるかわからないような気軽に会えない人との別れの際に使われるというから、意味深。

●メカノリモン:他の小さなデジモンが操縦しないと活動できないという珍しい乗り物型のパワードスーツデジモンという設定。マシーン型の成熟期。必殺技は「トゥインクルビーム」。では乗ってるデジモンは誰?メタルエンパイア軍団だから、バケモンではなさそう。というか、メカノリモン自身の眼のアップのシーンがあり、どうも意思があり単独行動を示唆しているように見えるのだが、設定やいかに。

●タンクモン:戦車の形のサイボーグ型の成熟期。全身に重火器を装備し、争いごとが好きで「傭兵デジモン」と呼ばれる。必殺技は頭部の砲身から発射する強力なミサイル「ハイパーキャノン」。病院でメカノリモンと相打ちになり大爆発。

●ハグルモン:マシーン型の成長期。必殺技は「ダークネスギア」。CVは櫻井孝宏さん、平田広明さん。

●メガドラモン:サイボーグ型の完全体。必殺技は「ジェノサイドアタック」。

●ギガドラモン:サイボーグ型の完全体。必殺技は「ジェノサイドギア」。

次回予告:ヒカリが目覚めたのは暗い地下迷宮。ヒカリは支配されたヌメモンを救おうと…

2025.7.15. 記

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