DIGIMON BEATBREAK 第4話「ファミリー」感想
脚本:森地夏美 演出:山﨑響介 作画監督:大竹守・迫由里香・小松こずえ・金久保典江・洪範〇(変換できません) 総作画監督:仲條久美 美術:神綾香 <2025.10.26. 放映>
森地夏美さんは、アドコロやゴスゲ、逃走中で脚本を書かれていた。キャリアはそれが最初なので、デビュー間もない方と思われる。アイキャッチ前半でレーナがピックアップされ、後半が堂々と前を向くレーナとプリスティモンに変わった、三種類目。ということは後キョウ、マコトのパターンがあるのだろうか。それは話数の内容により違うのか?
バトルもすごかったけれど、トモロウとレーナが衝突しつつも互いの短所と長所・過去と現在をすり合わせてファミリーになっていく様が一番心に残った。
個人的に無印と02は殿堂入りなのだが、今作のデジモンシリーズの中での位置づけは結構高い。世界観、ストーリー、キャラ造り、作画レベル、音楽や歌、キャスティング、今の時点でどれにもかなり満足しており先も期待できる。ビートブレイクにおけるデジモンの位置づけ、パートナーシップ、そして世界救済譚であるのかどうか、見届けたい。
●トモロウ:兄貴の件と関係ない案件に、意欲はそもそも低いのが響いた。「何とかって言ったって、あいつが勝手に」ゲッコーモンの制御が全くできてない。ファミリーを危険にさらし兄のことしか考えてないとのレーナの批判に、「当たり前だろ、俺は兄さんを救うためにここにいる、お前たちの仲間になった覚えはない!」と反論し、はずみでコップを割ってしまう。破局の象徴。それを片付けたのがキョウというのも象徴的。海の癒しは頭を冷やすのにちょうどよい。たかが10才のマコトの柔らかな物腰の語りかけには、なぜか素直になる力があった。レーナがファミリーを強調しすぎて「そもそもビートが合わない!」。そこでレーナの成育歴の一部を初めて耳にする。自分と同じ一人ぼっちじゃないか。しかも「家族を助けるのは当然だろ?」と兄もかつて彼に言っていた。レーナの言葉と同じことを。幼少期に父親の呼称は「お父さん」。ヤマトのように「オヤジ」でないのも、「アニキ」でなく「兄さん」なのも、かつての住まいが一軒家だったことも、裕福な育ちの良さがうかがえる。
二回戦で、マッハモンからレーナをかばって負傷。ドラマーとして大切な腕を犠牲にしてまで。「昨日の借りを返しただけだ。それに、助けるのは当然、なんだろ?」。もう、素直じゃないんだから。レーナにほおずりするゲッコーモン曰く「ケケケ、ファミリーだからな!」トモロウの本音がダダ洩れ笑。包帯に星印が付いているが、面倒事担当のマコトでなくレーナが手当てしたのだろうか、意外。キョウの期待に「まあ、次はもう少しうまくやれると思う」クリーナーとしての自覚の芽生え。
口元のほくろにはキャラデの小島氏の思い入れがあるとか。どなたか詳細をご存じですか?
●ゲッコーモン:成熟期のマッハモン相手に、今話でも成熟期に進化はしなかった。今作では進化レベルと勝敗は必ずしも同調しないよう。「おまんま」と連呼、かわいい。「合わせ鏡」という表現をマコトが初めて使ったが「デジモンはサポ主の性格に似るんだとか」、トモロウはそんなに食べるのが好きなのだろうか。「腹ペコで眠れなかった時」ええ?デジモンが空腹を理由に不眠??しかも人間の食べ物を補給して満腹になるのか。一体ゲッコーモンの満腹中枢はどう機能しているのか。
初戦ではトモロウの指示など待たずに突っ走って邪魔になった末にガス欠でダウン。まるでトモロウと連携が取れていなかった。二回戦での連携はばっちり、マッハモンのコアを直撃!勝利する。
●レーナ:5月17日現在で、レーナは5月7日に誕生日を迎えての「16才」という設定。トモロウは1月生まれで早生まれの15才だから、二人は学年で言えば同期ということになる。家族がおらず16才ですでに他のチームを渡り歩いてきたということは、中学にまともに通っていない中卒で高校には進学せず、養護施設出身と思われる。今の法律では養護施設には18才まで在籍できるが、すぐカッとなるあの性格ゆえ15才時点でもう居心地が悪くろくに帰っていなかったと思われる。キョウ曰く一番の古株で、受け入れてくれたのが唯一今のチームであった。グローイングドーンが家にしてメンバーが家族というのは彼女の切実な実情であった。
キョウに臨時のリーダーを頼まれ赤面してやる気満々「もぉ~仕方ないなぁ~!」。居場所をくれたキョウに恩を感じているとして、それは兄貴としての思慕なのかはたまた恋愛感情があるのか、ちょっとドキドキしますなあ。だって22才と16才という妙齢でしょ?
トモロウを呼び捨てか「アンタ」が二人称。初戦でトモロウをかばい、左足首を捻挫する。「家族を助けるのは当然」だから。リベンジを宣言してから、その指揮は冴えわたる、さすがは古株。二回戦勝利で「(ニヤリ)ほめてつかわす」と上からながら、グータッチを求めるのが対等でいい。各々が歩み寄って二人の心がつながった瞬間、ク~、いいねえ。ビートが合ってきた?
●プリスティモン~ウルヴァモン:飲食はしないが、ハーブティー(ローズヒップ)の香りをたしなむ優雅さ。「仕事をえり好みしてちゃおまんまは食えないのよ」とキョウの采配とケンカ腰のレーナをフォロー。それがこの泣く子も黙るクリーナーチームの懐事情、厳しいよう。「ハァイ、仲直りしに来たわ」シンプルに話を振る姉御。リーダーとしての至らなさに言及するレーナに、トモロウもレーナを少しは理解しリベンジの決意を新たにする。
●マコト:「賞金のかかったデジモンは確保して国民保護省に引き渡すか、デリートしないと減額になるんです」と説明。グローイングドーンがデリートという行為をしない理由は今話でもまだ明らかでない。マッハモン戦では、ボディのコアが弱点、と助言。「レーナさん、口は悪いですけど仲間思いで一生懸命なだけなんです」「新しい家族のトモロウさんのことを怪我をしてまでかばったんです」レーナの過去はあまり知らないが、一緒に過ごして人柄は把握している。これで10才というのが自分的に萌えどころ。
●キロプモン:ウルヴァモンのように成熟期に進化はせずにして、パラライズエコーの威力たるや、野木とマッハモンとにそれぞれ隙を作りバトルに大いに貢献。ところで歯はギザギザで痛そう。かわいいけど、トコモンの歯以来の衝撃。サポ主を吊り上げる脚力すごい。
●キョウ:野暮用が本当になかったのかあったのか、3人の団結を深めるためにあえて参戦しなかったリーダーの判断は正しかった。トモロウを気にかけるのは「今のトモロウには行く場所がない。昔のレーナと同じだ。素直じゃないところもな」。寛大なやさしさと、アスカとのただならぬ繋がり。受け入れてくれた経緯を思い出してか、素直じゃないと指摘されてか、赤面するレーナ。問題児であったレーナを一人前のクリーナーに育てた恩人。そして、トモロウのことも…。
●クーガモン:由来の山猫どおりに、まるで大きな猫じゃん。今話でも専用のクッションに横になり気持ちよさそうに顔面の毛づくろい。キョウになついてのどを撫でられ尻尾振り。首輪に鈴が付いてる笑。ハーブティーの香りを味わうプリスティモンに「独特な楽しみ方」と。やはり一般にデジモンは飲食しない模様。
●マキ:「くつわ」を調べたら、馬の口に噛ませて手綱を結ぶ金具のこと。何かキャラ設定と関係あるのかは不明。今回彼女が情報提供したのはサポ主不明のマッハモン。ここ数日、夜の湾岸道路で物流トラックを襲っている。積み荷はサポタマの半導体で、それをサポ主が奪って転売している模様だと。
●吉村:無力化した小さなチョロモンを、徒歩ではなく自車に乗せて、護送役。やはりキョウとはただの伽藍堂の常連客という顔なじみだけではないよう。公式に不都合な存在であるデジモンの幼年期がどこへ連れていかれどうなるのかは不明なのでチョロモンがちょっと心配。
●マッハモン:アドコロにて初出のサイボーグ型の成熟期。速さにこだわり高速で移動する者すべてを敵視する、生粋の暴走族。バイクの見た目だがシートは存在せず、何者も乗せる気はないが自分を乗りこなす運命のデジモンがいつか見つかると思っているとのこと。ナンバーは「77-599」これも意味はあるのか?幼年期はチョロモン。必殺技は各所から飛び出た刃で敵を切り裂く「フルスロットルエッジ」、前輪脇の銃口で乱射する「マッドネスファイア」。走る時の口癖は「ヒャッハー!」、とんだ荒くれ野郎。サポ主がマッハモンを道具と見なしているように、マッハモンもサポ主を走るためのエネルギー源としか、似た者同士。
CVは檜山修之(ひやまのぶゆき)さん、アーツビジョン所属。熱血漢、クールな二枚目、冷徹な悪役、三枚目など幅広くこなす。デジモンだと02のブラックウォーグレイモン、フロンティアのセラフィモン、クロウォのスラッシュエンジェモン、ゴスゲのシェイドラモンで出ておられるおなじみの方。気性も走りも荒々しい俺様なマッハモンは適任。
●野木:サポタマが普及した近未来でも「闇バイト」なる犯罪形態が残っていることには驚く。じゃあ「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」も生きてる?末端の子悪党、ある意味利用された被害者。そんなんにもパートナーデジモンが生まれる未来って、ヤバくない?トクリュウに声かけられなければこのサポ主は単なる走り屋だったかも。まあマッハモンの有利なミラーワールドへ誘い込むなんて、悪意はそれなりにある奴。金に釣られるって、Tシャツに無精ひげに目のクマで暗い表情、定職なかったっぽいし。CVは新井良平さん、青二プロの若手の方。デジモンへの出演歴はゲームのみ。Xにて、檜山さんとの共演の感慨を語っておられました。
●補充員:黒いごみ袋を回収しているが「ゴミ回収員」ではなかった。補充員て何?時期は5月なのに長袖で「肌寒い」とはこれいかに。夜だから?視覚より先に音を聴いて「クラシックバイクか?おいおい、今どき暴走族かよ」。全ての車が電動自動車になるより前の時代を知っている人物ということか。しかも「暴走族」が生き残っていた田舎のヤンキーがいた地方出身者と思われる。せっかく一息入れようというのに、輸送車がマッハモンに襲われる現場を目撃した驚きと恐怖、お気の毒。CVは中村光樹さん、ゴスゲの複数の脇役で出られていた青ニプロの若手の方。
●ナビ:カップコーヒーの自販機にまでナビが付いてるのね。CVは松嶌杏実さん。
●食事:蛸さんウインナーがメインディッシュって、まるで幼児のお弁当のよう笑。ウインナーを食いっぱぐれるトモロウ笑。キョウがふるまうのは美しいソーサーカップに入れたハーブティー。杏仁豆腐の次は海苔せんべい、レーナはお菓子を常備しているのか、甘くないお菓子もイケるくち。「3人の初仕事成功祝いだ」、ステーキは何グラムあるだろう、ご飯やサラダはない分大きなステーキ。付け合わせはコーンとフライドポテトとブロッコリー。トモロウは例によってブロッコリーを残したとして、捨てずにゲッコーモンが食べてくれてるといいな。
次回予告:一番奥に銭湯らしきものがある古き良き商店街を歩くトモロウ、ネギま串やコロッケを食べるゲッコーモン、炎の中でゲッコーモンの舌を伸ばす怒るトモロウ、工事現場仕様のデジモン(ケンキモンというらしい)、メガネの人相の悪い男、芽出し帽の輩に立ち向かうパンダモンの背中。サブタイトルは「五分と五分」。
2025.10.28. 記