DIGIMON BEATBREAK 第5話「五分と五分」感想
脚本:赤星政尚(あかほしまさなお) 絵コンテ:富沢信雄 演出:石田暢 総作画監督:諸葛子敬(しょかつしけい) 作画監督:北野幸弘・佐藤敏明・細川修平・柳瀬譲二 美術:神綾香 演出助手:長谷川和哉 制作進行:野坂愛 (原画に八島義孝さん、直井正博さんの名も) <2025.11.2.放映>
赤星氏の作品は私は初めて触れる。59才の、アニメや特撮の編集者、ライター、脚本家であるという。石田暢氏は多くのアニメの演出をされている方としかわからず。諸葛氏は中国の天津出身の華僑でデザイナー、イラストレーター、アニメ作画監督。東映アニメ所属で、逃走中などの作画監督を務められた。アイキャッチは2話でも使われたゲッコーモンヴァージョン。キョウでもマコトでもないのは、話の内容からか。設定の情報が一通り出たところで、第5話にしてゲストキャラがメインを張る展開は大胆で新鮮。しかもゲストキャラたるパンダモンの死亡フラグを立てて次回へ送るという展開も目が離せない。
●トモロウ:コンビニへ買い物に行かされて。レーナのパシリか笑。しかし該当する建物はなく、総合型リゾート施設建設予定地が広がるばかり。
何だかんだとゲッコーモンとのやりとりは仲良くて、いい感じ。予告の炎のシーンは、不用意に舌を使うなと叱るシーンであった。
「ひとっ風呂」と聞いて、トモロウも脱ぐのかと一瞬期待した自分が恥ずかしい。銭湯の料金は2025年現在、都道府県が料金を決めている。東京都は大人550円、小学生200円、未就学児100円である。竹の湯は大人480円、中学生300円、小学生180円、小人無料とあり、大人はかなり安い。近未来なのにあり得ない料金。それだけ特殊なエリアということだろう。
アジトに皆を待たせているのに、笹竹のもてなしの席とゲッコーモンの入浴で、だいぶ時間を食っている。それで次回、レーナ達が場所を特定して来たのかな。
●ゲッコーモン:バッグの中に隠されていたが、飽きてしまう。例によって嗅覚は鋭く、いい匂いを検知。そこは、銭湯が一番奥に鎮座する、古き良き商店街であった。茶色の揚げ物は私が認知したコロッケではなく、メンチカツであった。いくら大食家のモンスターであっても、地面に落ちた途端それは食べられないものになったのは彼なりのマナーがあるのが意外であった。普通ペットなら食べていただろうから。もう一つ意外だったのは、素早く長く伸びる舌でならおそらく間に合っただろうに、トモロウの注意した通り舌を使わず、短い手でキャッチしようとしたこと。食べられたかもしれないのにトモロウの注意を守ったのであった。食べ物の恨みは何とやら、子分の一人を放り投げ、町から追い出した。
「こんなでっけえお風呂初めてだってナ」ということは、グローイングドーンのアジトはシャワールームだけではなく狭いながらも風呂(浴槽)があるということか。
「一宿一飯の…ゾンビ?」「恩義です」、笑。トモロウに準じて語彙力はあるほうだが、「ゾンビ」はありでも「恩義」などという語彙とはさすがに無縁であった。クソ真面目に訂正するパンダモンもいい。
●レーナ:ひらがなとカタカナ表記で漢字が一文字しかないアバウトな地図を書いたのは、几帳面で頭の良いマコトでなく、中学にろくに通っていなかったであろうレーナと思われる。肉まんが好物みたいだし。
●マキ:キョウと同じく吉村を「ヨッシー」と呼称。もしかしていい年して吉村自身がそう呼んでくれと言っているのか。吉村のまたもセクハラ的な発言におかんむり。女性が若くても年増でも、異性からの年令の話題はアレですねぇ。子ども時代、すでに吉村と面識があった可能性があるかも。キョウのことは「キョウちゃん」と子どもっぽく呼ぶから、キョウよりやや年上か、30代?国民保護省から情報がトクリュウに漏れていると推測。
●マコト:「雇い主はどうやって国民保護省より早く賞金首とコンタクトを取れてるんでしょうか」おお、10才にして知りたがる心!掌のあの黒いものは何?イヤフォン?超アナログ派の私にはわからなかった。
●キョウ:国民保護省とトクリュウの件について、調べてみるよ、と。凄腕のマキに頼りにされている、弱冠22才。
●パンダモン:パペット型の完全体。パンダと同じく個体数が少なく、見かけるのはまれ。無表情無関心でぶっきらぼうな性格で、自分は一匹狼だと思っているが、似たような姿形のもんざえモンが人気者なのをうらやむかわいげも持っているという公式設定。必殺技は手の内に隠れている爪で攻撃する「アニマルネイル」。ネットの情報によると、パンダモンは「デジモンウェブドット絵コンテスト」受賞作品なので、銭湯のタイル絵がパンダなのは大変印象深い。今話の個体は無関心という設定からは外れるが、寡黙で謙虚である。
尺八の渋いBGMで登場。光ヶ浜東商店街の用心棒をしており一人称は「あっし』で仁義あふれる性格。そもそものサポ主については今話では明かされず、けれどあの涙の訳は…。「熊猫組」の笹竹が、サポ主ならぬパートナー。人間界に迷い込み、笹竹と親子の盃を交わし、以降は彼のe-パルスのみもらいつつ町を守っている。だが笹竹が高齢のためか、エネルギー不足で倒れることもしばしば。ということは。e-パルスさえ満たされれば今よりずっと強いということ。
「親子盃」とは、親分と子分の間で交わす盃のこと。交わすことによって両者の疑似血縁関係を明確にするための儀式。盃を親分から下され、子分として組織の一員となる。同じ親分のもとでも兄弟の間には上下関係が存在する。兄弟の中にも五分の兄弟、五厘下りの兄弟、四分六の兄弟、七三の兄弟、二分八の兄弟と、明確な上下があり兄弟盃を交わす。「五分の兄弟」とは、上下関係がなく対等な兄弟関係である。ということは、パンダモンは自分の弱みゆえかあるいはゲッコーモンに相当惚れ込んだか、あとから来た成長期のゲッコーモンを弟分でなく対等と見なしているということだ「客人、いやゲッコーの。あっしと五分と五分の兄弟にならないか?」。ゲッコーモンは持ち掛けられて最初はよくわかっていないようだったが、「きょうだいが言ったとおりだ!半分こすると、うれしいのが倍になるってナ!」ここで”きょうだい“を実感することになる。パンダモンの拳とゲッコーモンの舌でグータッチ。前回のレーナとトモロウの対等なグータッチが思い出される。笑い合う二体とトモロウ、しかし危険な気配が…。
「あいつ、ミラーワールドの入り口、ひらけるのか?!」ケンキモンたちの襲撃に、町を守るため完全体として自力でミラーワールドを開く。開くには体にそれなりの負荷がかかってしまう模様。パンダモンに有利なフィールドとはいかに。
CVは杉田智和さん、独特の重厚な低音で大人気声優にして作家、株式会社AGRSの設立者にして代表取締役。代表作は銀魂の坂田銀時、涼宮ハルヒの憂鬱のキョンなど。ゴスゲでクラヴィスエンジェモンをされている。渋くて義理に厚いパンダモンは適任。
●笹竹:「竹の湯」の主にして「熊猫組(ぱんだぐみ)」の親分。一人称は「手前」。和服姿に半纏には家紋が。居室に神棚がしつらえてある。という純日本風な生活形態。後継者たる子どもや家族はいないのか(親子の盃に立ち会った老婆は妻?)、パンダモンに期待を寄せる「パンダモンと手前の関係のことを言うのであれば、親と子です」「パンダモンには、今どきの若いもんが失っちまった任侠心があります。あいつぁ、立派な任侠モンだ」。しかし老体ゆえか十分なe-パルスをパンダモンに分け与えられないのはもどかしい。酔って踊り出す気のいいおやじっぷりには驚いた。沖縄のようなノリ。住民にとっては見慣れた光景のよう。CVは沢木郁也さん。アーツビジョン所属の声優、ナレーター、音響監督。ベテランの名バイプレーヤー。
●遊狩ケイスケ:パンダの敵がアイドル動物のコアラ、笑。苗字が「ゆうかり」って、コアラのエサはユーカリ、笑。弧荒会のボスにして、トクリュウの幹部。それに加えてスーツ姿のシルエットだけの登場だが「あの野郎」とは?。第4話の野木の雇い主。白いスーツに赤紫の胸をはだけかけた開襟シャツに金のピアスというヤクザな出で立ちに、眼鏡は意外。パンダモンを「パンダ野郎」と冒涜、積み重なった因縁があるよう。選ばれし者でなく誰しもがデヴァイスを持ち得り、悪意ある者がパートナーデジモンを利用できる世界は、旧作にはなかった世界観。全ての人間にパートナーデジモンがいる02最終話は、性善説に基づいていたのに。今作の2050年よりさらに未来はどうなっていくのか?「未来を、バグらせろ」の意味と、宮元氏の言う希望の持てる未来とは?
CVは真殿光昭さん。青ニプロ所属のベテランで、やんちゃな男の子役が多いとのこと。個人的には「ハレのちグゥ」のクライヴが印象的。亡くなられた梁田清之さんのご友人の側面も。
●アスタモン:魔人型の完全体ながら、究極体を凌駕する力を持ち、ダークエリアを束ねる貴公子。敵への残虐性と味方への慈愛を持ち合わせるカリスマキャラ。自慢のマシンガン「オーロサルモン」から放つ弾丸は意思を持っており、地獄まで敵を追尾する。必殺技はオーロサルモンから放つ「ヘルファイア」、暗黒エネルギーをまとったキック「マーヴェリック」。遊狩がサポ主ということは、完全体なのには遊狩との絆がしっかりしているはず。マシンガンの標的をパンダモンに定めたところで舞台は暗転するというラストシーン。く~、気になる~。もしパンダモンが消されるとしても、町は守られてほしい。
●待田:「まちだ」と読むのだろうか、名前では呼ばれもしなかったキャラ。ケンキモンを「ご苦労さんな」とねぎらうだけの関係性を構築している。弧荒会に雇われた地上げ屋で、リゾート開発のため商店街を更地にすべく襲撃。しかしパンダモンにミラーワールドへ押し込まれ、ゲッコーモンの舌で視界を遮られてクレージークレーンで自滅。動けぬケンキモンを置いて逃げ出した、所詮それだけの関係性だったということか。CVは杉山優斗(まさと)さん。ゴスゲ、逃走中に脇役で出られていた青ニプロの若手の方。
●ケンキモン:友情のデジメンタルで進化したマシーン型のアーマー体。名前の由来は建設機械で、フォークリフト、パワーショベル、ブルドーザー、クレーン車の要素が詰め込まれている。必殺技は電撃をまとったクレーンを振り回す「クレージークレーン」。古株キャラだがアニメへの登場はこれが初めて。弧荒会の雇った闇バイトのデジモン。ケンキモンは体勢を崩してパンダモンにアニマルネイルで追撃され、ボムモンへ退化した。ボムモンはその直後アスタモンの技で用済みとみなされたかパンダモンともども撃たれデリートされた。声は効果音とボムモンのうめきのみ。
●(商店街の)おじさん:見ない顔のトモロウに気さくに声をかけ「とりあえず食ってきな」と。お代を取る気はないのか。はぐれ者を自称。CVは中根徹さん。青ニプロ所属の俳優にして声優。数多くのテレビドラマや映画の吹き替えで活躍。
●おばさん:「あんたら変わってるな」と評するトモロウに「何言ってんだい。変わっちまったのは社会のほうだろうが。お上の言う理想的な自分なんてクソ喰らえさ」。こうしたサポタマからの管理を自分の意志で拒否する少数派がいたことは、自分が変わり者として社会から抑圧されてきたトモロウには衝撃であった。住民は「サポタマ」「サポ主」「e-パルス」という呼び名さえおぼつかないのに、そのデメリットというか危険性は直感的に把握しているというのには驚く。近未来の人間、捨てたもんじゃない。サポタマというデジタルを排除した、アナログな義理人情に厚い地域社会が存在した。シャングリラエッグと対照的なエリア。CVは鶴田真希さん(ゴスゲ、逃走中で脇役で出ておられた青ニプロの方)。
●子分:顔がわれるのが怖いのか、わざわざ目出し帽をかぶった小者。CVは中村光樹さん・八木沼凌さん・浅野良介さん(アドコロ、ゴスゲ、逃走中などで脇役で出られた青ニプロの若手の方)
●住民:老若男女様々である。流れ者を受け入れ、家族同然の待遇(そこはグローイングドーンと似ている)。CVは今川柊希(いまがわしゅうき)さん(ゴスゲや逃走中の脇役で出られていた青ニプロの若手)・黒田ひろきさん(青ニプロのジュニア枠の方)・大川陽之将(はるのすけ)さん(青ニプロのジュニア枠の方)・赤澤(あかざわ)明日加さん(青ニプロのジュニア枠の方)
●母:CVは松嶌杏実さん。
●娘:CVは水希凛さん(ゴスゲの脇役で出られた青ニプロのジュニア枠の方)。
●食事:ただの茶色の塊であるメンチカツのアップが、線画と彩色の工夫で、すごくおいしそう。ゲッコーモンへのお礼の席は、メンチカツ・焼き鳥・握り寿司・サラダ・天ぷら・盛り合わせ・日本酒・ビール・オレンジジュース。大変手が込んでいる。家族同然だから、食べ尽くして酔いが回ってその場で寝落ちする者が複数。
●MADKID:CMで初めて姿を現した5人組。ダンス&ヴォーカルユニットと言うからには、歌とラップだけでなくダンスも見るのがお得でしょうね。配信はよくわからんので、CDが発売したら買おうかな。DVDが付いてるといいな。婆さん、ついていけるかな??「Mad Pulse」が12番目のシングルということは、相応のキャリアがあるということ。
次回予告:次回のサブタイトルは「親子の盃」。パンダモンが子分となった経緯が詳しく語られるか。圧倒的に強い遊狩・アスタモン組に、レーナとマコトも参戦(キョウはまたも不在?)。どうなるパンダモン…。
2025.11.4. 記